
電気用品を輸入するなら、PL保険も忘れずに!― PSEマークだけでは終わらない―
電気用品の輸入販売では、PSEマークを付けたら一安心と考えている方も多いかもしれません。
しかし実際には、PSEマークは「安全性を確認した証」にすぎず、事故が絶対に起きないことを保証するものではありません。
電気用品は、感電や発火など人体に重大な危害を及ぼすおそれがある製品です。
だからこそPSEマーク制度が存在し、厳格な基準が設けられています。
そしてその危険性の高さを考えると、PSEマーク対応だけでなく「PL保険」への加入も必ず検討しておくべきです。
PL保険とは?(生産物賠償責任保険)
PL保険(生産物賠償責任保険)とは、製品が原因で人にケガをさせたり(対人)、物を壊したり(対物)した場合に、損害賠償責任を補償する保険です。
たとえば、輸入した電気製品が発火し、
- 消費者がやけどを負った(対人)
- 家の壁や家具を燃やしてしまった(対物)
といったケースでも、PL保険に加入していれば基本的には損害賠償金を保険でカバーできます。
輸入者が「製造者」として責任を負う(PL法)
もともと、製造物責任(PL)は製造したメーカーが負うべき責任ですが、輸入の場合は「輸入者が製造者とみなされる」と、製造物責任法(PL法)第2条で定められています。
第2条 この法律において「製造業者等」とは、次のいずれかに該当する者をいう。
- 当該製造物を業として製造、加工又は輸入した者
- 自ら当該製造物の製造業者として当該製造物にその氏名、商号、商標その他の表示(以下「氏名等の表示」という。)をした者又は当該製造物にその製造業者と誤認させるような氏名等の表示をした者
- 前号に掲げる者のほか、当該製造物の製造、加工、輸入又は販売に係る形態その他の事情からみて、当該製造物にその実質的な製造業者と認めることができる氏名等の表示をした者
つまり…

- あなたが海外メーカーから電気用品を輸入
- それを国内の小売業者に販売
- 小売業者が消費者に販売
- そのうち1つが発火事故を起こした
という場合、責任を負うのは小売業者でも海外メーカーでもなく、あなた(輸入者)です。
国内での最終責任はすべて輸入者が負うという仕組みなのです。
個人や副業で輸入ビジネスをされている方はこのあたりを知らない方も多いのが実情ですが、これはかなり危険なことなのです。
実際に輸入者が責任を負ったPL法の事例
PL法が適用され、輸入者に賠償責任が認められた事例も少なくありません。
- 輸入瓶詰オリーブ食中毒事件
瓶詰めオリーブを食べた消費者がボツリヌス中毒に罹患したとして、オリーブ輸入会社に損害賠償が請求された事案です。 - 輸入漢方薬腎不全事件
漢方薬を服用した消費者が慢性腎不全に罹患したとして、漢方薬の輸入販売業者に損害賠償が請求された事案です。
電気用品も、感電・火災などのリスクがあるため、同様にPL法の対象となります。
電気ポットや電気ストーブの発火事故などは複数事案が発生しており、PL法に基づき製造業者が賠償している例も見られます。
「高そう…」と思われがち。でも加入しないリスクはもっと大きい
「PL保険は高い」と思っている方も多いようです。
商品内容によって保険料が決まるので、一概には言えませんが、必ずしも高額というわけではありません。
損害賠償請求は数百万円〜数千万円に及ぶこともあり、小規模事業者にとっては致命的な打撃となりかねません。
副業や個人輸入の場合でも、PL法による責任からは逃れられません。
むしろ、個人事業で資本力が小さい場合こそ、いざというときのダメージを考えて加入しておくべきです。
「よく分からないし、大丈夫だろう…」と軽視していると、万が一のときにとてつもないダメージを受ける可能性があります。
PL保険の加入方法
PL保険には、以下のような方法で加入できます。
- インターネットで直接申し込む
- 通関業者や輸入代行会社に紹介してもらう
複数の保険会社から見積もりを取り、内容と保険料を比較して決めるのがおすすめです。
まとめ|PSEマークとあわせてPL保険も!
- 電気用品はPSEマークを付けても事故リスクはゼロではない
- 製造物責任法により、輸入者が製造者として責任を負う
- 対人・対物賠償に備え、PL保険への加入が強く推奨される
電気用品の輸入販売を始めるなら、PSEマーク対応と併せてPL保険も忘れずに検討してください。
当事務所では、PSEマークの表示サポートをはじめ、電気用品の輸入に関する各種手続きをトータルでサポートしています。
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