建設業の人手不足は「待ったなし」─現場が抱える現実とこれからの話

「うちも人がいなくて、残業で回すしかない」
そんな声を、最近はますます多く聞くようになりました。

建設業ではいま、かつてないほど深刻な人手不足が進行しています。
一方で、仕事の量は減るどころか、むしろ増えている。

2024年4月には時間外労働の上限規制が建設業にも本格適用され、これまでのように“がんばって何とかする”では通用しなくなりました。

「現場は待ってくれない。でも、働く人がいない。」
それが今、建設業の現場で起きている現実です。

今回の記事では、建設業界の人手不足がなぜここまで深刻なのか、その背景にあるデータをもとに整理していきます。

建設業の人手不足が深刻化している理由

日本の建設業就業者数は、1997年に685万人でピークに達した後、一貫して減少を続けています。直近の2024年時点では約477万人となり、ピーク時の約70%程度にまで減少しました。

一般財団法人建設業連合会サイトより

わずか30年足らずで200万人以上もの労働者が建設業界から姿を消した計算になります。

この背景には、1990年代後半以降の公共事業削減や建設投資縮小による建設需要の低迷があり、多くの企業が倒産・縮小を余儀なくされた歴史があります。

しかし近年ではインフラ老朽化への対応や災害復旧、大型プロジェクト(例:リニア新幹線や大阪万博)など建設需要はむしろ高まっている中で人手不足が進行しており、業界にとって重大な課題となっています。

高齢化が進む建設業の年齢構成

人手不足の根底には、日本全体の少子高齢化による労働人口減少がありますが、建設業界の高齢化は他産業以上に深刻です。

2024年時点で建設業就業者のうち55歳以上が約37%を占め、29歳以下は約12%にとどまります。全産業平均では55歳以上が約32%、29歳以下が約16%程度であるため、建設業では高年齢層の比率が際立って高いことがわかります。

政府統計の労働力調査によると、2024年時点で建設業就業者のうち65歳以上が20%以上を占めています。

全産業平均では16%が65歳以上となっており、他の産業と比べて建設業では高年齢層の比率が高いことが分かります。

また、65歳以上の割合は年々上昇傾向にあることも分かります。

政府統計 労働力調査より

若年層の入職割合が低下している背景

高齢化が進んでいくなかで、若手人材を確保し、ベテラン層からの世代交代を図ることが今後の課題となることは間違いありません。

新規学卒者の建設業への入職者数は、2009年に2.9万人まで落ち込んだ後いったん回復し、2014年以降は4万人前後で推移しています。2024年には約3.8万人と11年ぶりに4万人を下回りました。

問題は社会全体の若年層人口が減っている中で、建設業の就業者数に占める若年層の割合も年々下がっていることです。

加えて、建設業のイメージや労働環境に対する不安も払拭しきれておらず、若者が長く働き続けたいと思える産業に変えていく必要があるという課題は依然として残っています。

さらに、入職した若手が定着せず離職してしまうことも労働力不足に拍車をかけています。

せっかく入ってきた若手を十分に定着させられず、人手不足の悪循環に陥っている企業も多く耳にします。

人手不足対策としての外国人雇用

このように、建設業では「高齢化」×「若年層の減少」×「制度の変化」という三重苦が同時進行しています。

そして、今後こうした人手不足にどう対応していくかは、すべての建設会社にとって避けて通れないテーマです。

現場を回すためには、日本人だけではどうしても足りない。

そこで、外国人材の雇用を積極的に取り入れていく企業が建設分野でも増えてきました。

特定技能制度の拡充や国の受け入れ方針の追い風もあり、今後さらに多くの外国人が現場で活躍することが期待されます。

しかし、外国人を雇用するには法令に則った体制整備や煩雑な手続きが必要となります。

適切な手続きを踏まずに雇用を進めてしまうと、入管法違反や不正受入れとして罰則や契約解除リスクに発展するケースも少なくありません。

行政書士にご相談ください

当事務所では、建設業許可と外国人雇用に関する申請・手続きのサポートを行っております。

「技能実習生はいるけど…」「外国人を受け入れるノウハウも余裕もない…」という経営者様も、お気軽にご相談ください。

それぞれの現場に即した支援体制づくりをご提案いたします。


今後もこのサイトでは、建設業における外国人雇用や制度変更に関する情報を発信していきます。

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