医薬品等を個人輸入するには?医療従事者が知っておきたい申請の基本

個人輸入と医薬品の規制について

医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器、および再生医療等製品(以下「医薬品等」といいます)は、誰でも自由に輸入できるものではありません。

なぜなら、これらを自由に持ち込んで流通させることができると、人体に悪影響を及ぼす製品が広まったり、依存性の高い薬が流通してしまったりするおそれがあるからです。そうしたリスクを防ぎ、国民の健康と安全を守るため、医薬品等の輸入には法的な規制が設けられています。

とはいえ、すべてを禁止してしまうと、海外で開発された優れた薬や医療機器が国内で使えないという新たな問題が生まれてしまいます。そこで導入されているのが「承認制度」です。

日本国内で医薬品等を流通させるためには、取り扱う事業者が厚生労働省の承認を受けなければなりません。そして、その事業者が取り扱う製品一つ一つにも、品目ごとの承認が必要です。

「個人輸入」という例外

こうした制度の例外として、個人が自ら使用する目的で輸入する場合や、医療従事者が自らの責任で輸入する場合には、「個人輸入」という形で一定の輸入が認められています。

ただし、厚生労働省による詳細な承認を経ないまま輸入されるため、使用者自身がその安全性やリスクを十分理解した上で判断する必要があります。

また、個人輸入で得た製品はあくまで自己使用のみが認められており、第三者に譲渡・販売することは法令違反となります。

実際の個人輸入の傾向(データから読み解く)

以下は、厚生労働省の統計に基づき、医薬品等の輸入確認証が発給された品目数の推移をまとめたグラフです。

厚生労働省「医薬品等の個人輸入について」

個人用 vs 医療従事者用

グラフからも分かるとおり、医療従事者による輸入件数が圧倒的に多いことがわかります。

近年は年々増加傾向にあり、2022年には合計で20万品目を超えるまでになっています。

種類別の内訳

こちらは品目の種類別内訳を示したものです。最も多いのは医薬品で、次いで医療機器が続いています。その他、化粧品や再生医療等製品などもありますが、全体に占める割合は小さめです。

このようなデータからも、医療従事者による個人輸入が医療現場のニーズに基づいた実践的な行為であることがうかがえます。

実際に輸入するには

個人輸入を行う際には、輸入確認書の発給を受ける必要があります。

この手続きには、使用目的や品目、数量に応じた必要書類の提出が求められ、申請先は管轄の地方厚生局です。なお、申請内容によっては薬機法、厚生労働省令、通知などの解釈が必要となり、内容はかなり複雑です。

申請する品目や目的によっては、オンライン申請が可能なケースもあります。対応可否や手順は、必ず管轄の地方厚生局のウェブサイト等で最新情報をご確認ください。

行政書士によるサポートも可能です

医療従事者の方々は日々の業務で多忙を極めるため、こうした煩雑な申請手続きを自力で進めるのが難しいケースも少なくありません。

行政書士は、個人輸入に伴う書類作成・申請手続きの代理が可能です。必要に応じて制度の説明からサポートいたしますので、お困りの際はどうぞお気軽にご相談ください。

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