食品を輸入するときの検疫所での検査とは?流れと種類をやさしく解説
食品を輸入する際は、まず厚生労働省(検疫所)に「食品等輸入届出書」を提出し、検疫所による審査・検査を経て、問題がなければ通関という流れになります。
この記事では、「検疫所での審査・検査の流れ」と、「検査の種類・合否後の手続き」についてわかりやすく解説します。

検疫所での審査とは
食品を輸入する場合、「食品等輸入届出書」の提出が必要です。
食品等輸入届出書を提出すると、まず検疫所で書類審査が行われます。
主な審査項目は以下のとおりです。
- 食品衛生法に規定される製造基準に適合しているか
- 添加物の使用基準は適切であるか
- 有毒・有害物質が含まれていないか
- 過去に衛生上の問題があった製造者・製造所でないか
また、提出書類だけで適合性を判断できない場合は、追加資料や報告が求められることもあります。
ここで問題がないと判断された場合は、「食品等輸入届出済証」が発行されて、通関へと進みます。
検査は不要となります。

現物検査が必要と判断された場合は、次に紹介するいずれかの検査が行われます。
検査が必要になった場合
審査で「検査が必要」と判断された場合は、次のいずれかの検査が行われます。
命令検査
- 食品衛生法違反の恐れが高いと判断される場合に実施
- 過去の違反情報、自主検査やモニタリング検査等で違反事例が判明した場合など
- 輸入者が費用負担
- 検査結果が出るまで輸入不可(通関不可)
- 不合格なら輸入不可(廃棄・積戻しなど)
自主検査(指導検査)
- 初回輸入時や、その他の理由で違反の可能性が高いと判断される場合に実施
- 国が輸入者に対して自主的な衛生管理の一環として定期的な検査を指導
- 輸入者が費用負担
- 結果判明まで輸入手続きは保留
- 不合格なら輸入不可(廃棄・積戻しなど)
モニタリング検査
- 国が毎年策定する「輸入食品監視指導計画」に基づいて実施
- 多種多様な輸入食品について、食品衛生上の状況を幅広く監視する目的
- 検査費用は国負担
- 検査結果を待たずに通関可能
- 違反が判明した場合は行政指導
上記以外にも、以下のような場合には検疫所の食品衛生監視員が現場で行政検査を行うことがあります。
- 初回輸入時
- 食品衛生法違反が判明した場合
- 輸送途中で事故が発生した場合 など
検査結果とその後の流れ
検査が終わったら、いよいよ合否判定です。
合格すれば通関へ進めますが、不合格だった場合は輸入できませんので、結果によって対応が異なります。
合格の場合
「食品等輸入届出済証」が発行されて、通関へと進みます。
不合格の場合
基本的に輸入はできません。積み戻し・廃棄・食品以外への転用などの措置が必要となります。
手続きを効率化する制度
検査になると時間もコストもかかるため、検疫所では輸入手続きを簡素化・迅速化する制度を設けています。
- 食品等輸入届出手続きの簡素化・迅速化の制度
- 品目登録制度 など
これらを上手く活用することで、輸入手続きをスムーズに進めることができます。
専門家の活用もおすすめ
輸入食品の検査は制度が複雑で、準備不足だと時間・コストのロスにつながるおそれもあります。
当事務所では、以下のサポートを行っています。
- 関連法令との適否チェック
- 管轄検疫所への事前相談同行
- 食品表示法に基づくラベルデータ作成・発行・貼付サポート
- インボイス・パッキングリスト作成
- 輸送手配サポート
- 食品等輸入届出書の作成・提出 など
ご状況に合わせて柔軟にサポートしますので、ぜひお気軽にご相談ください。