
建設業許可の「申請先」はどこ?申請先を間違えないために
建設業の許可を取得したい――そう思ったとき、まず知りたくなるのが「どんな書類が必要?どうやって手続きするの?」ということ。
でも、いざ調べようとすると「手引き」がたくさん出てきて、どの手引きを見ればいいのか迷いませんか?
実は、申請先は建設業許可を申請しようとしている会社の営業所の場所や数によって異なります。そして、申請先ごとに手引きや必要書類、手続きプロセスも違います。
正しく申請するためには、自分の申請先をきちんと特定して、正しい手引きをチェックすることが最初の一歩です。
この記事では、「どこに申請すればいいの?」の答えを、わかりやすく解説します。
申請先の基本ルール
建設業許可の申請先は、営業所の数や場所によって大きく2つに分かれます。
「都道府県知事」または「国土交通大臣」のどちらに申請するか、次の基準で決まります。
- 営業所が1つだけ → その営業所がある都道府県知事へ申請
- 営業所が2つ以上で、すべて同一都道府県内 → その都道府県知事へ申請
- 営業所が2つ以上で、複数の都道府県にまたがる → 国土交通大臣へ申請
※ここでいう「営業所」とは、「常時建設工事の請負契約を締結する事務所」を指します。
具体例でイメージ
例1
-1024x1024.png)
兵庫県加古川市に事務所が一つ
→兵庫県知事許可
例2
兵庫県加古川市・明石市に2つ(同じ県内)
→ 兵庫県知事許可
.png)
例3
-1024x1024.png)
兵庫県加古川市+大阪府東大阪市
→ 国土交通大臣許可
よくある誤解&注意点
許可を受けた都道府県以外でも工事はできる
「兵庫県知事の許可を持っているけど、大阪で工事しても大丈夫?」という疑問、よく聞きます。
実は、許可を受けた都道府県以外のエリアでも、工事自体は行えます。
ただし「請負契約の締結」などの業務は、届出済みの営業所で行う必要があります。
例えば、兵庫県知事許可の場合でも、大阪で現場工事を受注・施工することはできますが、
契約書の締結や事務処理などは兵庫県内の営業所で行わなくてはなりません。
「営業所」=単なる本店や支店とは限らない
「営業所=会社の本店や支店」と思いがちですが、営業所とは“建設業の契約や実務を行う拠点”のことになります。
他業種のためだけの支店などは営業所にカウントされません。
例えば、宅建業と建設業両方を営んでいる会社が
- 建設業は兵庫県加古川市で営業
- 宅建業は大阪府東大阪市で営業
しているケースを考えてみましょう。

この場合、大阪府の事務所で建設業の営業をしていなければ、大臣許可は不要です。
建設業の営業所は兵庫県だけ、となり知事免許になります。
あくまでも建設業としての営業実態があるかどうか、で判断します。
許可業種は、軽微な建設工事も届出済み営業所以外では営業NG
「軽微な工事(許可が不要な小規模工事)はどこでもOK?」と思われがちですが、届出済み営業所以外では営業(契約・受注)はできません。
具体例
左官工事業で兵庫県知事の許可を受けている会社が、100万円の左官工事を大阪府の事務所で契約しようとする
→NG
この場合は、
- 大阪府の事務所も届出をする(=国土交通大臣の許可を取得する)
- 兵庫県内にある届出済みの事務所だけで契約等の業務を行う
のどちらかの対応が必要になります。
ワンポイント解説
- 「工事の現場」と「契約を結ぶ営業所」は区別して考えましょう
- “営業所”の定義や数え方が間違いやすいポイントです
知事許可/大臣許可の変更について
「最初は知事許可で取ったけれど、営業所を増やして他県にも展開したい」
「大臣許可で取ったけれど、事業縮小で1県だけに戻したい」
――このような場合、知事許可から大臣許可、大臣許可から知事許可への“切り替え”は可能です。
ただし、営業所の増設・移動などで申請先(知事 or 大臣)が変わる場合には、再度申請手続きが必要となります。
「単なる届け出」では済まず、新たな書類の準備・手続き・費用や審査の時間もかかることになるのです。
そのため、「今後の営業計画も踏まえて、どのタイミングでどちらの許可を取るか」を事前によくよく検討しておくことが大切です。
「将来的に営業所を増やすかもしれない」「予定はまだ未定だけど…」という場合も、早めに専門家へ相談しておくと、無駄な手間やコストを防げます。
ワンポイント解説
- 許可区分の変更=単純な“届け出”ではなく、新規申請に近い手間や費用がかかる
- だからこそ、計画段階からの相談がおすすめ
こんな落とし穴に要注意!
実は、「知事許可だと思い込んで申請書を作り終えたら、実は大臣許可だった!」というケースは少なくありません。
知事許可と大臣許可では必要書類や申請方法も異なりますし、知事許可の中でも都道府県ごとにプロセスが違います。
あとで申請先を間違えたことに気付いたら、申請書をイチから作り直し…ということになりかねません。
まとめ
「分かりにくい」「途中でミスしそう」と思ったら、手続きのプロである行政書士に相談・依頼するのがおすすめです。
最初から適切なルート・申請先を選ぶことで、二度手間や無駄な作業・時間ロスを大きく減らせます。
「申請先が分からない」「どちらに申請すればいい?」という方は、お気軽にお問い合わせください。
専門家があなたの状況に合わせて最適なアドバイス・サポートをご提供します。
