【2025年対応】医療法人の『決算届』と『経営情報等』の報告を忘れていませんか?提出義務と新制度のポイント

医療法人にとって「決算後の報告」は“避けて通れない義務”です

医療法人は、税務申告とは別に、「事業報告書等(いわゆる決算届)」や「経営情報等の報告」を都道府県に提出する義務があります。

しかし、

税理士さんに任せているから大丈夫だと思っていた

そもそも、税務とは別にそんな報告があるとは知らなかった

という声も少なくありません。

本記事では、医療法人の決算報告制度の概要から最新の制度変更、そして実務上の注意点や対策までを、行政書士の視点からわかりやすく解説します。

【制度解説】医療法人の決算報告とは?税務とはどう違う?

決算報告の目的と提出先について

医療法人は、会計年度終了後3か月以内に、「事業報告書等(いわゆる決算届)」および「経営情報等報告」を提出する義務があります。

これは厚生労働省所管の制度で、税務申告とは別の公的責任です。

提出先は医療法人の所在地の都道府県知事宛ですが、実際の提出先は保健所福祉事務所となることが多いです。(医療法人の状況によって具体的な提出先は異なります。)

「決算届」と「経営情報等報告」の違い

事業報告書等(決算届)と経営情報等報告は同じタイミングで提出するものですが、内容が若干異なります。両方、報告義務があります。

事業報告書等(決算届)経営情報等報告
根拠法令・通知など医療法第52条医療法改正(令和5年4月)
内容会計資料
(貸借対照表、損益計算書など)
施設の詳細データ
(職員数、診療科、給与額など)
提出期限原則会計年度終了後3カ月以内原則会計年度終了後3カ月以内
提出手段WAMNETまたは書面でWAMNETまたは書面で

経営情報等の報告は令和5年(2023年)8月から開始された新しい報告義務です。

確定申告(税務申告)との違い

確定申告は「法人税の申告」を行うための税務手続きです。

一方で、事業報告書等(決算届)と経営情報等の報告は「医療法に基づく医療法人の義務」となります。

確定申告事業報告書等
経営情報等報告
対象期間法人の会計期間(例:4月~翌3月、など)法人の会計期間(例:4月~翌3月、など)
期限決算終了後から2カ月以内決算終了後から3カ月以内(原則)
目的納税行政への報告

事業報告書等(決算届)と経営情報等の報告は医療提供体制と運営実績を行政に報告する制度で、税理士による確定申告とは別枠の手続きです。

なぜ手間をかけて報告が必要なのか

日本政府は、生産年齢人口の減少や地域間での医療格差など喫緊の医療課題に対応するため、医療提供体制の整備や人材配置を分析可能にする制度が必要と考え、この制度を創設しました 。

また、国民への透明性・信頼性向上を目的として、これらの情報をデータベース化し、政策立案・自治体の取組・研究者への開示を促進する枠組みになっています 。

【注意喚起】未提出や遅延で“行政指導”も…?

行政指導や将来の許認可に影響も?

医療法人の決算報告や経営情報等の提出を怠った場合、行政庁から「指導」や「改善命令」等を受けるリスクがあります。

報告履歴は“積み上がる”

提出状況は行政庁側で記録・管理されており、遅延や報告漏れが、将来の事業計画や許認可の判断に影響を与える可能性もあります。

✔「今回だけ遅れた」

✔「うっかり提出を忘れていた」

といった理由であっても、継続的な信頼性を求められる場面ではマイナス評価となることも。

医療法改正による義務強化

令和5年(2023年)の医療法改正により、報告義務が強化されました。

今後は、行政も「情報収集の精度」や「法令遵守の徹底」に一層注力する姿勢を示しています。

このような背景からも、報告の確実な実施が求められています。

【変更点】令和7年(2025年)4月から報告方法が変更されました(GMIS → WAMNET)

報告システムの変更

これまで使われていた「GMIS」は廃止され、令和7年度(2025年度)からは「WAMNET(ワムネット)」での電子提出が原則となりました。

また、WAMNET上のMCDB(医療機関経営情報支援データベース)の利用申請を行い、そこで報告することが求められています。

MCDBの利用には申請が必要

MCDBの利用には、事前申請(利用者登録)が必要です。

この申請は令和7年(2025年)3月までに済ませることが推奨されていました。未対応の法人は速やかに申請を行う必要があります。

【解決策】忙しい先生方に代わって、行政書士がサポートします

医業経営や臨床に集中したいというお客様の状況に応じて、必要な手続きを確実かつ丁寧にサポートいたします。

よくあるご依頼内容

  • 提出書類の作成・提出の全面代行
  • 顧問税理士との連携によるスムーズな対応
  • 提出期限を過ぎてしまった場合の行政対応のサポート
  • MCDB申請や操作に関するアドバイス など

報告の確実な実施が、信頼と継続的な経営の土台になります。

医療法人の報告制度は、「一度きり」ではなく「毎年続く義務」です。

しかも、令和7年からの制度変更により、操作や申請にも新たな対応が求められています。今後も改正が加わる可能性もあります。

「本業に集中したい」「ミスなく確実に対応したい」

そんな時は、どうぞ私たち行政書士にご相談ください。

的確な手続きと、安心できるサポート体制で、経営を下支えします。

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やすだ行政書士事務所
兵庫県加古川市のやすだ行政書士事務所です。 元医療機器商社出身で、10年以上輸出入業務に携わってまいりました。 在留資格申請、建設業許可、医療関連許認可、輸出入関連許認可などを取り扱っております。 お気軽にご相談ください。
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