PSCマーク対象製品の輸入は保険加入が義務です|PL法&消費生活用製品安全法による義務

PSCマーク対象製品を輸入する事業者は、損害賠償措置(PL保険等)を講じることが法律で義務付けられています。

PSC対象製品は、

  • 子どもが使うおもちゃ
  • ヘルメット
  • ライター

などが該当します。

​消費生活用製品安全法 第6条(抜粋)

特定製品の製造又は輸入の事業を行う者は、次の事項を主務大臣に届け出ることができる。

4項 当該特定製品の欠陥により一般消費者の生命又は身体について損害が生じ、その被害者に対してその損害の賠償を行う場合に備えてとるべき措置

​消費生活用製品安全法 第11条

届出事業者は、第6条第4号の措置が主務省令で定める基準に適合するようにしなければならない。

この義務は、PSE対象製品(電気用品)にはない、PSC製品特有のルールです。

その危険性の高さを考えると、PSCマーク対応だけでなく「PL保険」への加入も必ず検討しておくべきです。

損害賠償措置の内容と要件

義務付けられている損害賠償措置は、主にPL保険に加入することで対応します。

主な要件は以下のとおりです。

  1. 補償額要件
    被害者一人につき1,000万円以上、かつ年間3,000万円以上を限度として填補できること
  2. 事業者自身が被保険者
    他社契約の保険では不可で、輸入事業者自身を被保険者とする必要があります

経済産業省へ行う事業届出書に、保険証券など損害賠償措置を講じたことを証する書類を添付する必要があります。

また、届出後も事業継続中は、常に損害賠償措置を維持する義務があります。失効・未更新は違反となるので、保険を正しく維持することが重要です。

輸入者が「製造者」として責任を負う(PL法)

本来、製造物責任(PL)は製造したメーカーが負うべき責任です。

しかし、輸入の場合は「輸入者が製造者とみなされる」と、製造物責任法(PL法)第2条で定められています。

​製造物責任法(PL法)第2条(抜粋)

「製造業者等」とは、次のいずれかに該当する者をいう。

  1. 当該製造物を業として製造、加工又は輸入した者
  2. 自ら当該製造物に製造業者と誤認させるような氏名・商号・商標等を表示した者
  3. その他実質的な製造業者と認められる者

つまり…

  1. あなたが海外メーカーからPSC対象製品を輸入
  2. それを国内の小売業者に販売
  3. 小売業者が消費者に販売
  4. そのうち1つが事故を起こした

という場合、責任を負うのは小売業者でも海外メーカーでもなく、あなた(輸入者)です。

国内での最終責任はすべて輸入者が負うという仕組みです。

実際に輸入者が責任を負ったPL法の事例

PL法が適用され、輸入者に賠償責任が認められた事例も少なくありません。

  • 輸入瓶詰オリーブ食中毒事件
    瓶詰めオリーブを食べた消費者がボツリヌス中毒に罹患したとして、オリーブ輸入会社に損害賠償が請求された事案です。
  • 輸入漢方薬腎不全事件
    漢方薬を服用した消費者が慢性腎不全に罹患したとして、漢方薬の輸入販売業者に損害賠償が請求された事案です。

PSC対象製品でも、転倒事故・発火事故・誤飲による窒息事故などが起きれば同様にPL法の対象となります。

PL保険の加入方法

PL保険には、以下のような方法で加入できます。

  • インターネットで直接申し込む
  • 通関業者や輸入代行会社に紹介してもらう

複数の保険会社から見積もりを取り、内容と保険料を比較して決めるのがおすすめです。

まとめ

  • PSCマーク対象製品の輸入事業者は、損害賠償措置(PL保険等)の加入が法的に義務
  • 一人1,000万円・年間3,000万円以上を補償する保険などを手配
  • 事業者自身が被保険者となり、届出時に保険資料を提出
  • 届出後も継続的に損害賠償措置を維持する必要がある
  • 輸入者はPL法上「製造者」としての賠償責任を負う

PSC対象製品の輸入販売を始める際は、PSCマーク対応とあわせて、損害賠償措置(PL保険等)の準備を確実に行いましょう。

PSCマーク対象製品の輸入販売を始めるなら、PSCマーク対応と併せてPL保険も忘れずに検討してください。

当事務所では、PSCマークの表示サポートをはじめ、消費生活用製品安全法に基づく届出や、PSC対象製品の輸入に関する各種手続きをトータルでサポートしています。

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やすだ行政書士事務所
兵庫県加古川市のやすだ行政書士事務所です。 元医療機器商社出身で、10年以上輸出入業務に携わってまいりました。 在留資格申請、建設業許可、医療関連許認可、輸出入関連許認可(お酒、医療機器、化粧品、電気用品など)、補助金申請を中心に許認可を幅広く取り扱っております。 お気軽にご相談ください。
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