
【重要】2025年12月25日より3歳未満子ども向けおもちゃの規制が始まります
消費生活用製品安全法の改正に伴い、2025年12月25日から、3歳未満の子ども向けおもちゃに新たな規制が適用されます。欧米の多くの国では子どもの安全のために規制がありましたが、日本ではこれまでは規制がほとんどありませんでした。そこで、日本でも子どもの安全を守るため、規制が始まりました。
3歳未満の子ども向けおもちゃの製造・輸入事業を行っている事業者の皆さまは、対応が必須です。
ここでは、その具体的な内容と、「すべきこと」をまとめました
規制の対象?
まずは、あなたの取り扱う製品が今回の規制の対象となるか、以下のフローチャートで確認してみましょう。

規制対象に含まれるものの例
- タオル製のにぎにぎ
- 歯固め
規制対象に含まれないものの例
- 三輪車・四輪車
- おしゃぶり
何が「おもちゃ」に該当するかについては、経済産業省が公表している情報や法令・関連文書を詳細に確認して、事業者自身で責任を持って判断する必要があります。
それでも判断に迷う場合は、根拠法条の記載箇所を明確にして経済産業省に問い合わせる必要がありますが、そもそも法令の解釈が複雑なため、必要に応じて行政書士や弁護士の活用も検討してみても良いかもしれません。
対応が必要な場合のTODOリスト
1. 事業届の提出
事業開始から30日以内に届出が必要です。こちらは税務署に提出する開業届とは異なり、経済産業省への届出となります。
今回の改正に関しては9月から届出可能となります。12月25日以降は混雑が予想されるので、なるべく早めの届出で余裕を持って対応することをお勧めします。
- 提出方法:保安ネットまたは郵送
- 保安ネットを利用する場合:GビズID(様々な行政手続きで使用するID)が必要です。行政書士もGビズIDを保有しており代行できることが多いので、必要に応じて相談してみましょう。
2. 自主検査の実施
「自主」という名称ですが、これは義務です(任意ではありません)。
- 製造・輸入のたびに、製品ごとに検査を行う必要があります。
- 検査項目は、基本的には、以下の国際的な安全基準のいずれかを満たす必要があります。
- 以下4種類すべて
- ISO 8124-1:2022
- ISO 8124-2:2023
- EN71-1:2014+AI:2018
- EN71-2:2020
- または、ASTM F963-23
- 以下4種類すべて
3. 使用年齢基準の確認
製品ごとに定めた対象年齢が適当かどうかの確認を行います。目安となる指標はISO/TR8124-8:2024やASTM F963-23 Annex A1などがあります。
合理的な根拠に基づいて対象年齢を決める必要があるので、「対象年齢:5歳以上」と記載して明らかに赤ちゃん向けのおもちゃを販売することはNGになります。
4. 警告文の表示
製品本体(それが難しい場合は容器の見やすい場所)に、適切な警告文を表示する必要があります。
誰が見ても分かるように「日本語で」「消えないように」記載する必要があります。例えば、輸入品で英語表記がある場合でも、必ず日本語表記を追加する必要があります。
警告文の例
- 「保護者の目の届く安全な場所で遊ばせてください。」
- 「保護者の目の届くところで遊んでください。」
- 「お子様の一人遊びは危険です。必ず保護者の監督のもとで使用してください。」
- 「必ず保護者の方が付き添い、絶対にお子様から目を離さないでください。思わぬ事故の危険があります。」
- 「保護者の方は遊ぶ前に遊び方を説明した上、保護者の監視下で遊ばせてください。」
- 「保護者の方はお子様が遊ぶ前に取扱い方を十分説明した上、監視下で遊ばせてください。」
- 「屋内外を問わず保護者の監視下で安全な場所で遊ばせてください。」
- 「必ず保護者の方が付き添い危険がないよう監督してください。」
5. 届出事業者の氏名または名称の表示
製造・輸入を行う事業者(1.で届出を出した事業者)の氏名または名称を記載することが求められています。
容器包装や取扱説明書への表示も可能です。また、ロゴや略称で記載することも可能ですが、事前に経済産業大臣の承認を得る必要があります。
6. 子供用PSCマークの表示

製品本体(または容器の見やすい場所)に、子供用PSCマークを付ける必要があります。
こちらも「消えないように」記載してください。
7. 販売開始
上記1から6までの対応をすべて実施し、PSCマークを付けた製品のみが販売可能となります。
まとめと今後の対応
3歳未満向けおもちゃの製造・輸入事業を行っている事業者は数多く存在しますが、日本ではこれまでは規制がほとんどありませんでした。しかし、2025年12月からは厳格な規制が始まります。
事業撤退を検討される場合
安全面への対応が困難で事業撤退を決めた場合は、他分野への参入を検討することになるでしょう。12月が近づくにつれ、同様の理由で新規参入先を探す事業者が増加することが予想されます。
今から以下のような準備を進めておくことで12月以降に新規参入してくる競合他社との差別化が図れるでしょう。
- マーケット調査の実施
- ニーズ調査の実施
- 競合との差別化戦略の策定
- 自社製品の競争力の向上
事業継続を検討される場合
「この規制に対応し、事業を継続する」と決めた方は、どう規制に対応していくか、早急に具体的な計画を立て、対応を進めましょう。
「知らなかった」「ばれないだろう」といった安易な考えで法令違反を犯してしまった場合、将来的に事業の継続が困難になる可能性もあります。
当事務所では、今回の事業届をはじめとする各種サポートを行っております。ご不明な点やご相談がございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。
