行政書士が教える|飲食店開業で失敗しない物件選びのポイント

飲食店の開業において、物件選びは成功の鍵を握る最重要ステップです。

適切な物件を選べれば、開業後の運営がスムーズに進み、逆に不適切な選択は大きなリスクとなりかねません。ここでは、物件選びの際に必ず考慮すべきポイントを詳しく解説します。

飲食店開業までの全体ロードマップはこちら
飲食店開業を成功させるためのロードマップ:9つのステップ
飲食店開業を成功させるためのロードマップ:9つのステップ

1. 立地の選定:ターゲットと法律の両面から見極める

一般的に、物件の立地はターゲット顧客層が集まる場所、競合店の状況、人通りなどを調査し、自身のコンセプトに合う場所を探すでしょう。
例えば、若者向けのカフェなら大学やオフィス街の近く、ファミリーレストランなら住宅街やショッピングセンターの近くが適しています。

ここで、行政書士の観点から特に注意を促したいのは、「用途地域」の確認です。

用途地域とは、都市計画法に基づいて都市を住宅地、商業地、工業地などに区分しているものです。

「競合がいないから完璧な場所だ!」と思っても、実は飲食店を開業できないエリアだった、というケースも少なくありません
「市町村名 + 用途地域」で検索すれば、各自治体のウェブサイトなどで確認できますので、必ず事前に調べておきましょう。

2. 居抜き物件 vs. スケルトン物件:メリットデメリット

物件には主に「居抜き物件」と「スケルトン物件」の2種類があります。

それぞれにメリット・デメリットがあり、開業にかかる費用や期間に大きな差が生じるため、自身の計画に合った選択が重要です。

居抜き物件の特性と注意点

前の店舗の設備や内装がそのまま残っている物件です。

​メリット
  • 初期費用の大幅削減: 既存の設備や内装をそのまま活用できるため、内装工事費を大きく抑えられる
  • 開業までの期間短縮: 大規模な工事が不要な場合、契約後すぐに営業を開始できる可能性も
​デメリット
  • 設備の老朽化リスク: 既存の設備が劣化している可能性があり、予期せぬ修理や交換費用が発生することも。
  • レイアウトの制約: 既存の内装や設備の配置が、自身のコンセプトに合わない場合、理想の店舗作りがしにくい

スケルトン物件の特性と注意点

内装や設備がすべて撤去され、骨組みだけの状態の物件です。

​メリット
  • 自由なレイアウト設計: ゼロから内装を設計できるため、自身のコンセプトに合わせた理想の店舗を作りやすい
  • 新しい設備の導入: 最新の設備を導入できるため、長期的な視点での快適な運営が期待できる
​デメリット
  • 初期費用の増加: 内装工事や設備導入に多額の費用がかかる
  • 開業までの期間延長: 工事期間が長くなるため、その間の家賃負担も増加
    メリットデメリット
    居抜き物件①初期費用を抑えられる
    ②準備期間短縮
    ①設備の老朽化リスク
    ②レイアウトの自由度が低い
    スケルトン物件①設計の自由度が高い
    ②最新設備を導入可
    ①初期費用が増える
    ②準備期間が長くなる

    飲食店営業許可を得るためには、内装にも特定の要件が定められています。

    物件を探す際には、物件価格だけでなく、これらの要件を満たすための内装費用がどれくらいかかるのかを概算しておくことが重要です。

    物件は安く手に入れられたけど、要件を満たすための工事に想定以上にお金がかかってしまった…

    こういう事態は避けたいものです。

    また、居抜き物件であっても、法改正や飲食店の種類(カフェなのかバーなのか、など)によって求められる要件が異なることもあります。
    「居抜きだから安心」と過信せず、必ず確認が必要です。

    不動産会社によって飲食店の許認可に関する知識の豊富さは異なりますし、不動産会社はあくまで物件の仲介を行うだけで、許認可要件のチェックまでは通常行いません。
    そのため、借り手・買い手自身が慎重に判断することが不可欠です。実際、契約後に営業許可が下りず、店舗として使用できなくなるトラブルは少なくありません。

    ちなみに、このようなケースでは、不動産会社に責任を問えないことがほとんどであるため、飲食店の開業者自身が十分に注意を払う必要があります。

    まとめ:後悔しないための最終チェック

    物件選びは飲食店の成功を左右する重要なステップです。

    安易に決めず、納得できる物件慎重に選びましょう。トラブルを防ぐためにも、物件契約前に関連法令を確認した上で、必要に応じて保健所や消防署などの関係機関に事前相談を行い、基準を満たしているか確認することが不可欠です。ただし、これらの手続きは専門的で複雑なため、行政書士に相談するのも一つの有効な手段です。

    当事務所では、飲食店営業許可の申請代行はもちろんのこと、用途地域の確認や内装要件の確認を含め、飲食店開業に関するあらゆるご相談に対応しております。「将来的に飲食店を開業したい」と考えている方も含め、ぜひ一度お気軽にご相談ください。

    公式LINEでのお問い合わせも受け付けております。

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    輸出入専門特化型行政書士事務所の安田俊子(特定行政書士)です。 10年以上輸出入業務に携わってまいりました。輸出入関連許認可(食品、お酒、医療機器、化粧品、電気用品など)やEPAの活用を中心に、各種許認可・補助金申請を取り扱っております。お気軽にご相談ください。
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