
「特定建設業」と「一般建設業」の違いをわかりやすく解説!
「一般建設業」や「特定建設業」という言葉を耳にすることは多いと思いますが、これらの違いを明確に理解している方は意外と少ないのではないでしょうか?
今回は、建設業許可における「特定建設業」と「一般建設業」の違いについて、わかりやすく解説していきます。
特定建設業と一般建設業、その違いとは?
一言でまとめると、以下のようになります。
- 特定建設業:元請けとして請け負った工事で、多額の下請契約を締結する場合に必要な許可
- 一般建設業:特定建設業に当てはまらない、一般的な建設工事を行う場合に必要な許可
具体的な判断フローと事例
元請として工事を請け負う場合、特定建設業が必要かどうかは、下請に出す金額で決まります。

具体的には5,000万円以上(建築工事業なら8,000万円以上)下請に出す場合は、特定建設業が必要になります。
具体例
いくつか具体例をみてみましょう。
具体例1:複数の下請契約で基準額を超える場合

発注者から受けた工事を2,600万円と3,000万円でそれぞれ別の下請さんへお願いした場合です。
下請金額は2,600万円+3,000万円=5,600万円となります。
5,000万円以上となりますので、元請には「特定建設業」が必要です。
具体例2:複数の下請契約でも基準額未満の場合

次に、発注者から受けた工事を2,600万円と400万円でそれぞれ別の下請さんへお願いした場合はどうでしょうか。
下請金額は2,600万円+400万円=3,000万円となります。
5,000万円未満となりますので、この場合は「一般建設業」でOKです。「特定建設業」は不要です。
具体例3:一次下請がさらに二次下請に出す場合(特定は不要なケース)

発注者から受けた工事を6,000万円と400万円でそれぞれ別の下請さんへお願いした場合についてもみてみましょう。
下請金額は6,000万円+400万円=6,400万円となります。
具体例1と同様に5,000万円以上となりますので、この場合の元請は「特定建設業」が必要になります。
間違えやすいのが、6,000万円で請負契約を締結した一次下請が5,500万円で二次下請にお願いする場合です。この場合、一次下請は5,000万円以上下請に出していますが、元請ではありませんので、「一般建設業」でOKです。「特定建設業」は不要です。
具体例4:建設工事以外の業務はカウントされない

発注者から受けた工事を6,000万円と900万円でそれぞれ別の下請に出し、200万円で警備会社に交通誘導をお願いした場合はどうなるでしょうか?
単純に合計すると、4,000万円+900万円+200万円=5,100万円となり、「特定建設業が必要なのでは?」と思うかもしれません。
今回の警備業務のように建設工事に該当しない業務は、特定建設業の判断における下請契約の合計額にはカウントされません。したがって、このケースの下請契約の合計額は「4,000万円+900万円=4,900万円」となります。5,000万円未満ですので、元請には「一般建設業」があればOKで、「特定建設業」は不要となります。
なお、「建設工事に該当する/しない」は実際の業務内容や締結した契約書からケースバイケースに判断されます。
ここがポイント!
「一般建設業許可」と「特定建設業許可」を同時に取得することはありません。
多くの建設業者様は、まず一般建設業許可を取得し、その後、元請工事が増え、下請に多額を発注するようになった段階で特定建設業許可に切り替えるケースが一般的です。

なぜ「特定」は要件が厳しいのか?
多額の金額を下請業者に発注するということは、それだけ大規模で複雑な施工管理体制を構築し、責任を持って工事を遂行する能力が求められます。そのため、特定建設業許可は、一般建設業許可よりも厳しい要件が課されており、それをクリアした業者だけが大規模な施工管理を行えるような仕組みになっているのです。
2025年2月建設業法施行令の一部改正
実は、2025年2月に建設業法施行令が一部改正され、特定建設業が必要となる金額の基準が引き上げられました。
工事の種類 | 改正前 | 改正後 |
---|---|---|
建築工事業以外 | 4,500万円 | 5,000万円 |
建築工事業 | 7,000万円 | 8,000万円 |
これまでは4,500万円以上を下請けに出すのであれば必要だった特定建設業許可が、5000万円未満までは不要となっています。
まとめ
元請としての工事規模が大きくなり、下請への発注金額が改正後の基準を超える場合は、特定建設業許可の取得を検討すべきタイミングと言えます。
「そろそろ特定建設業許可を取ろうかな」という方はもちろん、「一般でいいのかな?特定を取ったほうがいいのかな?」と悩んでいる方も、ぜひ一度専門家に相談することをお勧めします。
特に特定建設業許可は、一般建設業許可よりも要件が厳しく、準備に時間と労力がかかる場合があります。スムーズな事業拡大と許可取得のために、ぜひお気軽に専門家である行政書士にご相談ください。
