2025年度(令和7年度)東京都の食品衛生監視指導計画
各都道府県では、食品衛生法第24条に基づき「食品衛生監視指導計画」を毎年策定する必要があります。
ここでは、国内最大の消費地かつ食品流通の中枢という特性を持つ、東京都の2025年度(令和7年度)の食品衛生監視指導計画を見てみます。
輸入食品の安全確保に重点を置いた取り組みが特徴的です。
「食品衛生監視指導計画」って何?という方はこちら

輸入食品に関する国の監視体制―「輸入食品監視指導計画」とは?
対象地域と連携体制
この計画の対象地域は東京都全域ですが、特別区・八王子市・町田市はそれぞれ独自に監視指導計画を策定しており、東京都は多摩地域(八王子市・町田市を除く)および島しょ地域を所管しています。
また、特別区や市とは「都区協定」や「都市協定」に基づき連携しながら、効率的に監視指導を行っています。
実施体制としては、以下の機関が役割を分担して連携しています。
- 保健医療局健康安全部
- 健康安全研究センター
- 市場衛生検査所
- 芝浦食肉衛生検査所
- 各保健所
さらに、厚生労働省・消費者庁・農林水産省・警視庁・他道府県とも緊密に連携し、
広域的な食中毒事案や食品表示対策などにも共同で取り組む体制が整えられています。
重点監視指導項目
東京都の計画では、以下の項目を重点的に監視・指導しています。
HACCPの取組支援
- 全ての食品等事業者に対して、HACCPに沿った衛生管理の導入・定着を支援
- 特に小規模事業者を対象に、技術的支援やHACCP推進者の育成講習会を実施
食中毒対策
- ノロウイルス・アニサキス・カンピロバクターによる食中毒が依然多発
- 大量調理施設、食肉の生食・加熱不足、健康食品、持ち帰り・宅配食品などを対象に予防策を強化
- 紅麹を含む健康食品による全国的な健康被害を受け、健康食品対策を重点的に実施
食品表示対策
- アレルゲン表示(くるみ義務化を含む)への対応
- 期限表示の誤記防止、産地表示の偽装防止など、表示の適正化を推進
輸入食品対策
- 食料自給率が約4割と輸入依存度が高い状況を踏まえ、輸入食品の安全確保を重視
- 残留農薬検査、遺伝子組換え食品の監視指導、放射性物質検査を実施
- 輸入事業者に対する衛生管理推進、輸入食品等事業者衛生講習会の開催
デジタル化とリスクコミュニケーション
デジタル化の推進
- タブレット端末を用いた現場でのデータ入力
- RPA(Robotic Process Automation)やキャッシュレス決済の導入
- 営業許可申請手続きの効率化など、食品衛生業務のデジタル化の推進
リスクコミュニケーション
都民・事業者・行政が情報共有や意見交換を行う場として
- 「食の安全都民フォーラム」
- 「食の安全調査隊」
- 「食の安全都民講座」
などを開催し、リスクコミュニケーションの充実を図っているようです。
まとめ
東京都の輸入食品監視指導計画は、最大の消費地・流通拠点という特性を踏まえた独自性のある内容となっています。
紅麹問題を契機とした健康食品対策の強化や、行政手続きのデジタル化など、他地域には見られない取り組みも盛り込まれており、輸入食品の安全確保に注力している点が特徴です。
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2025年度(令和7年度)兵庫県の食品衛生監視指導計画
やすだ行政書士事務所
兵庫県加古川市のやすだ行政書士事務所です。
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