EPAを活用して関税を下げる!輸出者が価格競争に勝つための戦略とは
どんなビジネスでも、価格はとても大切なファクターです。
しかし、競合との熾烈な価格競争が始まると大変です。
製造原価を下げるのはとても難しく、原料価格も上がっていますし、輸送費も人件費も高騰しています。
そこで着目してほしいのが、「関税」です。
EPAをご存じですか?
EPA(Economic Partnership Agreement/経済連携協定)とは、特定の国どうしで「お互いに関税を低く(または無税に)する」などの特別なルールを定めた協定です。
ニュースで
- EPA締結でチーズが安くなります!
- EPA締結でワインの関税が下がります!
といった話題を目にすることがあると思いますが、EPAを締結したからといって、自動的に安くなるわけではないのです。
関税とEPAの基本的な仕組み

通常、貿易取引ではどの国にも同じ関税率をかけることが基本ルールです。
しかし、特別にEPA(経済連携協定)を結んだ場合、結んだ相手の国だけ特別な関税率を適用することができます。

- 原則:どこの国からも同じ関税率
- 例外:締結国だけ特別な関税率(他よりも低い/無税)
例えば
- B国のワインの輸入関税が通常15%
- A国とB国がEPAを締結し、「A国からのワインは10%にする」と約束
すると、
- A国からのワイン → 10%の関税
- B国以外からのワイン → 従来どおり15%の関税
となります。
ただし重要なのは、EPA締結しただけでは自動的に10%にはならないという点です。
輸出側で「A国産であること」を証明する書類(原産地証明書)を発行し、輸入国側に提出する必要があります。

EPAを活用した価格競争力の高め方
原産地証明書は輸出国で発行します。
一方関税は輸入国で発生するお金です。
輸出国で発行した原産地証明書を、関税が発生する輸入国での輸入通関の際に提出することで、特別な関税率の適用が可能となります。

この仕組みを理解し、輸出者側から「関税を下げられる」ことを提案できれば、 製品価格を下げずに競争力を高められるということです。
具体例
ここでひとつ具体例を見てみましょう。
B国にワインを輸出したい企業が3社あるとします。そしてそれぞれのワインの1本あたりの価格は同じです。
- A国のA社:$10/本
- C国のC社:$10/本
- D国のD社:$10/本
B国でのワインにかかる関税は通常15%。
ただしA国とB国はEPAを締結しており、A国からのワインは10%になります。
この場合、B国が実際に支払う価格は以下のとおりです:
- A国のA社:$10 +($10×10%)= $11.0
- C国のC社:$10 +($10×15%)= $11.5
- D国のD社:$10 +($10×15%)= $11.5

本体価格は同じでも、関税を含めた総額ではA社が最も安いため、B国にとってはA社のワインが一番安く手に入る、ということになります。
EPA活用には専門的な知識が必要
実際には、EPAの適用には複雑な要件や計算があり、輸入者であるB国の企業がそのメリットに気づいていないケースも少なくありません。
こうした「総額ベースでの価格メリット」を輸出者側から提示することで、競合より一歩先を行く競争力を確保できます。
当事務所のEPA活用サポート
EPAを活用することで国際的な競争力を高めることができる一方、EPAの管理・維持には専門的な知識が求められ、コストと手間もかかります。
- どのEPAを使えばよいか(二国間・多国間が重複している場合もある)
- 関税がいくら安くなるか
- 関税がいつからいつまで安くなるのか(段階的に下がる場合も)
こうした内容を正確に把握し、書類を整えるには専門的な知識が欠かせません。
当事務所では、EPAを活用した輸出ビジネスのサポートを行っています。
- 競合との熾烈な価格競争がツライ
- 製品のコストダウンはこれ以上無理…
- EPAを活用してみたいけどよく分からない
そんなときはお気軽にご相談ください。
EPAや輸出ビジネスに関する情報は、公式LINEでも発信しております。
お友達登録いただき、「EPAについて知りたい」とメッセージを送ってください。