古物営業で本人確認が必要なのはどんなとき?1万円未満でも必要なケースに注意!

古物営業をしていると、「この取引って本人確認が必要なの?」と迷うことはありませんか?

実は、「1万円未満なら本人確認不要」と思い込んでいると、法律違反になるケースもあります。

古物にかかわるお仕事をされている方は、関連する法律を読み込み、理解しながら実務を進めることが求められています。また、それが犯罪に巻き込まれないように自らの身を守ることにも繋がります。

この記事では、古物営業法の条文をもとに、本人確認が必要な条件と不要な条件をわかりやすく解説します。

法律から読み解く|本人確認の要・不要

古物商が古物を買い受ける場合、基本的には本人確認が義務付けられています。

古物営業法

(確認等及び申告)第15条1項
古物商は、古物を買い受け、若しくは交換し、又は売却若しくは交換の委託を受けようとするときは、相手方の真偽を確認するため、次の各号のいずれかに掲げる措置をとらなければならない

  1. 相手方の住所、氏名、職業及び年齢を確認すること。
  2. 相手方からその住所、氏名、職業及び年齢が記載された文書(その者の署名のあるものに限る。)の交付を受けること。
  3. 相手方からその住所、氏名、職業及び年齢の電磁的方法(電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によつて認識することができない方法をいう。以下同じ。)による記録であつて、これらの情報についてその者による電子署名(電子署名及び認証業務に関する法律(平成十二年法律第百二号)第二条第一項に規定する電子署名をいい、当該電子署名について同法第四条第一項又は第十五条第一項の認定を受けた者により同法第二条第二項に規定する証明がされるものに限る。)が行われているものの提供を受けること。
  4. 前三号に掲げるもののほか、これらに準ずる措置として国家公安委員会規則で定めるもの

ただし、すべての取引において本人確認するのは手間もかかり現実的ではないので、1万円未満の場合は「特別に」本人確認義務が免除されています。

​古物営業法

(確認等及び申告)第15条2項

前項の規定にかかわらず、次に掲げる場合には、同項に規定する措置をとることを要しない。

  1. 対価の総額が国家公安委員会規則で定める金額未満である取引をする場合(特に前項に規定する措置をとる必要があるものとして国家公安委員会規則で定める古物に係る取引をする場合を除く。)

国家公安委員会規則で定める金額というは、古物営業法施行規則で定められています。

​古物営業法施行規則

(確認等の義務を免除する古物等)第16条1項
法第15条第2項第1号の国家公安委員会規則で定める金額は、一万円とする

ただし、犯罪被害品が古物市場に流通しやすい特定の品目については、金額の大きさにかかわらず本人確認が必要としています。

特定の品目とは、具体的には次のようなものです。

  • オートバイ・原付
  • 家庭用ゲームソフト
  • CD/DVDなど光学ディスク
  • 書籍

これらが、国家公安委員会規則で定める古物として古物営業法施行規則で定められているのです。

古物営業法施行規則

(確認等の義務を免除する古物等)第16条2項

法第15条第2項第1号の国家公安委員会規則で定める古物は、次の各号に該当する古物とする。

  1. 自動二輪車及び原動機付自転車(これらの部分品(ねじ、ボルト、ナット、コードその他の汎用性の部分品を除く。)を含む。)
  2. 専ら家庭用コンピュータゲームに用いられるプログラムを記録した物
  3. 光学的方法により音又は影像を記録した物
  4. 書籍

ちなみに、2025年10月からこの品目が増える予定です。詳しくはこちらの記事もご参照ください。

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まとめ

本人確認の要不要は法律をしっかりと読み込んで適法に対応する必要があります。

まとめるとこんな感じです。

取引金額品目が特定品目本人確認
~9,999円該当しない不要
~9,999円該当する必要
10,000円以上問わず必要

赤色の部分―9,999円以下で特定品目以外のもの、は本人確認義務が免除されています。

それ以外については、必ず本人確認が必要です。

本人確認の具体的な手順についてはこちらの記事もご参照ください。

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次のようなフローチャートで本人確認の要・不要を確認することをお勧めします。

本人確認を怠ると罰則規定もあるため、きちんと理解して適切な業務手順に落とし込む必要があります。またスタッフ教育も行い周知徹底することも不可欠です。

当事務所では、古物営業許可取得・管理維持はもちろん、必要な社内マニュアル作成や社員教育支援など、幅広い法務サポートを提供しております。

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