消費生活用製品安全法改正に伴う子ども用おもちゃの安全性確認方法
2025年12月から、子ども用おもちゃに新しい規制が始まります。
これまでは自主判断で販売していた製品も、今後は「安全性を基準に沿って確認しなければ販売できない」仕組みに変わります。


この記事では、安全性をどのように確認するのか、基準書をどう活用すべきかを分かりやすく解説します。
安全性確認の3ステップ
商品を企画・設計
技術基準(≒国際規格)との適合を確認します。
安全性の確認は「技術基準に適合しているか」で判断します。
この技術基準は実質的に ISO・EN・ASTMなどの国際規格やSTマークなどのおもちゃの製品規格 を指します。
法律上は「合理的な方法なら国際規格でなくてもOK」とされていますが、別の方法で安全性を確認するには高度な技術知識が必要です。
そのため、多くの事業者は国際規格に基づく確認を選択しています。
製造や輸入のたびに検査
技術基準への適合性を確認し、記録・保管します。
これは商品企画時だけでなく、作るたびに毎回検査する必要があります。
表示義務の遵守
マーク、警告、届出事業者、対象年齢を製品に表示します。
国際規格で安全性を確認する4ステップ
① 検査機関を選ぶ
- どの規格で検査するかを決め、対応可能な試験機関に確認します。
② 製品を送る
- 製造者(ハンドメイド作家・メーカーなど)がサンプルを試験機関に送付します。
③ 検査を受ける
- 試験機関が ISO 8124、EN 71、ASTM などの規格に従って検査を実施。 例:誤飲防止サイズ、強度、燃焼テスト、有害物質の有無など。
- 規格ごとに検査項目は異なります。ISO 8124 と ASTM F963-23、STマークの内容は必ずしも同一ではありません。
④ 適合・不適合の結果を受領
結果の詳細は 試験報告書(Test Report) で確認します。
適合(合格)の場合は販売へ進みます。不適合(不合格)の場合は改良して再試験するか、撤退を検討する必要があります。
不適合だったらどうする?
検査結果には適合/不適合の概要が記載されます。
試験報告書には「どの項目で×だったか」「どういう試験条件で不適合になったか」が記載されます。
ただし、報告書だけでは十分でない場合もあり、基準書と突き合わせて詳細を確認することが重要です。
基準書は、製品を安全に作るためのルールブックです。
「小さい部品は〇センチ以下NG」「塗料に有害物質は使えない」といった製品のルールが定められています。
基準書の使い方:不適合が出たとき
- 適用規格を確認
試験報告書から該当条項を確認します。
(例:ISO 8124-1 小部品の誤飲試験、ISO 8124-2 可燃性試験) - 不適合の根拠条項を確認
基準書の該当条文を開き、試験方法と基準を照合します。 - 実物と照合する
- 部品が小部品シリンダーを通過 → 誤飲リスクあり
- 燃焼速度が基準超過 → 可燃性に不適合
- 改善策を検討する
材料の変更、寸法の調整、構造強化、ラベル追加など。
基準書の入手方法
メーカーや作家本人が購入することも可能ですが、数万円するケースが多いです。
自分で購入するか、すでに所持しているコンサル・専門企業を通して検査を進めるか、検討が必要です。
当事務所でも一部の規格について基準書を所持しており、製品認証・安全確認のサポートを行っています。
まとめ
規制が始まる2025年12月に向けて、早めに基準書や検査手順を押さえ、安全性確認を進めていきましょう。
消費生活用製品安全法の事業届は2025年9月25日から開始されています。
当事務所では、事業届の作成から検査・基準確認までトータルでサポートいたします。対応に迷われた方は、お気軽にご相談ください。