日本の書類に「認証がいる」と言われたら? ― アポスティーユ・公印確認・公証の違い
国際結婚の手続きや、海外の大学への出願、現地での就職などで、日本の書類を海外に提出する場面があります。
そのとき、提出先から届いた英語の指示に「Apostille」「Notarization」といった見慣れない言葉が書かれていて、戸惑ってしまう方は少なくありません。
「アポスティーユって何?」「どこに行けばいいの?」と、何から手をつければよいのか分からなくなってしまいますよね。
この記事では、海外へ書類を提出するときに求められることの多い「公証」「公印確認」「アポスティーユ」の3つの手続きについて、それぞれの違いと、ご自身の書類がどれに当たるのかを見分けるための考え方をお伝えします。
3つの手続きの違い
まずは、3つの手続きを「誰が」「何を」「何のために」証明するのか、という視点で比べてみましょう。
| 手続 | 証明する主体 | 証明の対象 | 主な目的・提出先 |
|---|---|---|---|
| 公証 | 公証人(公証役場) | 私文書 (個人・会社が作成した書類、宣言書など) | 署名が本人によって正しくなされたことを証明する |
| 公印確認 | 外務省 | 公文書 (官公庁発行書類、公証人の認証書) | 主にハーグ条約(認証不要条約)非加盟国へ提出する際、駐日大使館の「領事認証」を得るための事前証明 |
| アポスティーユ | 外務省 | 公文書(官公庁発行書類、公証人の認証書) | ハーグ条約(認証不要条約)締約国へ提出する際、駐日大使館の「領事認証」を免除(省略)させる証明 |
表から分かるとおり、公証は公証人が「私文書」を証明する手続きです。
一方、公印確認とアポスティーユは外務省が「公文書」を証明する手続き、という違いがあることが分かります。
公印確認とアポスティーユは、どちらも外務省が公文書を証明する点では同じです。
主な違いは、提出先の国がハーグ条約(認証不要条約)に加盟しているかどうかです。
どの手続きが必要になるかは、次の2つのポイントで決まってきます。
- 提出する書類が「公文書」か「私文書」か
- 提出先の国がハーグ条約(認証不要条約)に加盟しているかどうか
まず確認したい「公文書」と「私文書」の違い
手続きを見分けるうえで、最初の分かれ道になるのが「公文書」と「私文書」の区別です。
公文書とは
国や地方自治体などの官公署、公的機関、公務員が、その職務上作成した書類のことです。
- 戸籍謄本
- 住民票
- 登記事項証明書
- 公立学校が発行した証明書 など
私文書とは
個人や民間企業など、私人が作成した書類のことです。作成者の署名・押印があるものを指し、「私署証書」とも呼ばれます。
- 契約書
- 私立学校が発行した証明書
- 公文書の翻訳文
- 行政書士や本人が作成した宣言書(Declaration) など
ここで注意したいのは、同じ「学校の証明書」でも、公立学校が発行したものは公文書、私立学校が発行したものは私文書になる点です。
※国公立大学の中には、「国公立大学法人」として法人化されている場合もあります。ご自身の状況に合わせてご確認ください。

また、「公文書の翻訳文」(例えば「戸籍謄本」を翻訳会社に英語に直してもらった文書など)は私文書に分類されます。
戸籍謄本と翻訳文の例で考える
具体的な例として、戸籍謄本を海外に提出するケースで考えてみましょう。
戸籍謄本そのものは、市区町村が発行する「公文書」です。
ただ、多くの国では、日本語の戸籍謄本をそのまま受け取っても内容を読むことができません。
そのため、提出先から「翻訳文を付けてください」と指示されることがあります。
この「翻訳文」は、基本的に「私文書」になります。
そのため、翻訳文に直接アポスティーユを付けることはできません。(アポスティーユは公文書を証明するためのものだからです。)
では、翻訳文を一緒に提出したい場合はどうすればよいのでしょうか。
私文書である翻訳文は、まず公証役場で公証を受けます。
公証を受けた翻訳文であれば、外務省でアポスティーユを取得できます。(正確に翻訳されたものである、という宣言書を付ける必要があります。)

「戸籍謄本にアポスティーユを」と言われたときも、翻訳文が必要かどうかによって、手続きの流れが変わってくるのです。
- 戸籍謄本(翻訳なし) → 直接外務省でアポスティーユ
- 戸籍謄本(翻訳あり) → 一旦公証役場で公証 → 法務局証明 → まとめて外務省でアポスティーユ
迷ったら、提出先が何を求めているかを確認する
ここまで3つの手続きの違いを見てきましたが、実際には手続きが複雑で、何を提出すればよいのか分かりにくいこともあります。
いちばん大切なのは、海外の提出先が何を求めているのかをよく確認することです。
- どの書類が必要なのか
- 翻訳文を付ける必要があるのか
- 公証・公印確認・アポスティーユのうち、どの認証を求めているのか
このような点を事前に確認しておくと、取り直しや手戻りを防ぐことにつながります。
おわりに
海外に提出する書類の手続きは、書類の種類や提出先の国によって必要なものが変わります。
そのため、最初は分かりにくいと感じるのが自然なことです。
まずは「公文書か私文書か」「提出先の国がハーグ条約(認証不要条約)に加盟しているか」という2つのポイントを押さえておくと、全体の見通しが立てやすくなります。
当事務所では各種書類の翻訳から公証・公印確認・アポスティーユのお手続きに至るまでサポートしております。
「自分の場合はどうしたらいいのか分からない」「平日に時間が取れず、手続きを進められない」など、お困りのことがありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。
具体的なお手続きのプロセスについては、手続き内容ごとに別の記事で解説しております。
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